12月17日(水)米国時間の市況概況
こんにちは、とみです。2025年12月17日(水)米国時間の株式市場は、FRB高官のタカ派発言が重荷となり、前日に続いて下落基調となりました。
特に半導体セクターとハイテク株の下落が目立ち、Nasdaqの下げ幅が大きくなっています。
主要ニュース:トランプ氏のベネズエラ制裁とFRB発言
トランプ大統領、ベネズエラ制裁でタンカー封鎖命令
トランプ大統領がベネズエラに対する制裁を強化し、タンカーの封鎖命令を発令しました。
これにより、原油価格が上昇。エネルギー市場に影響を与えています。ベネズエラは世界有数の産油国ですが、政治的混乱により制裁対象となっており、今回の封鎖でさらに供給懸念が高まりました。
FRB高官のタカ派発言:インフレリスクと中立金利
この日、FRB(米連邦準備制度理事会)高官から相次いでタカ派発言が出ました。
- ボスティック総裁(アトランタ連銀):「インフレ上振れリスクが高まっている」
- ウォーラー理事:「金利は中立金利より0.5%は高い」
これらの発言は、「FRBは早期の利下げには動かない」という市場の警戒感を高め、株価の下押し圧力となりました。
中小企業診断士的視点:先行指標としての金利政策
中立金利(ニュートラルレート)とは、景気を刺激も抑制もしない水準の金利のことです。
ウォーラー理事の発言「金利は中立金利より0.5%高い」は、現在の金利政策が景気抑制的(引き締め的)であることを意味しています。
中小企業診断士試験の「経済学・経済政策」では、金利は景気の先行指標として扱われます。金利が高いままということは、今後の景気減速を示唆する可能性があります。
また、ボスティック総裁の「インフレ上振れリスク」発言は、遅行指標であるCPI(消費者物価指数)が今後も高止まりする可能性を示唆しており、FRBの利下げが遅れる要因となります。
市場全体の動き:指数そろって下落、Nasdaqの下落が大きい
この日の米国株式市場は、指数そろって下落という結果に。特にNasdaqの下落が目立ちました。
- ダウ工業株30種平均 - 下落
- S&P500 - 下落
- ナスダック - 大きく下落(ハイテク株・半導体株の重荷)
FRBの高金利維持姿勢が明確になったことで、成長株への圧力が強まりました。
セクター別の動き:5/11セクターが上昇も、エネルギー・テック工業が弱い
この日のセクター別の動きは以下の通りでした:
- 5/11セクターが上昇
- エネルギー:大きく下落
- テクノロジー:弱い
- 工業:弱い
エネルギーセクターは、原油価格の上昇があったものの、景気減速懸念から売られました。テクノロジーセクターは、後述の半導体銘柄の大幅下落が主因です。
半導体銘柄の大幅下落:NVDA、AVGO、ORCL
この日、半導体・ハイテク銘柄が軒並み大きく下落しました。
なぜ半導体銘柄が売られたのか?
半導体銘柄が売られた理由は、主に以下の3点です:
- FRBの高金利維持姿勢 - 成長株への圧力
- Oracleの決算前の警戒感 - Micron決算の生放送待ち
- AI投資の持続性への疑問 - 短期的な利益への懸念
特にOracleは、前日に続いてまた下落しています。Oracleは、この日の夜に発表予定のMicron(マイクロン)の決算を市場が待っていたため、半導体セクター全体が様子見ムードとなりました。
個別銘柄ニュース:明暗が分かれる
全体が下落する中、個別銘柄では明暗が分かれました。
HUT(ハット・エイト):+10%
HUT(Hut 8 Mining Corp.)は、ビットコインマイニング企業です。
この日、Anthropic(アンソロピック)とFluidstack(フルードスタック)との提携を発表し、データセンター開発に乗り出すことを明らかにしました。
Anthropicは、OpenAIと並ぶAI企業で、大規模言語モデル「Claude」を開発しています。Fluidstackは、AIインフラを提供する企業です。
この提携により、HUTはビットコインマイニングからAIインフラ事業への転換を進めることになり、株価が+10%と大きく上昇しました。
NFLX(Netflix):±0%
Netflix(ネットフリックス)は、この日横ばいでした。
買収によりワーナー(Warner)の賛同を得たというニュースがありましたが、株価への影響は限定的でした。
CRWV(CrowdStrike):-5%
CrowdStrike(クラウドストライク)は、サイバーセキュリティ企業です。
この日、Nebius(ネビウス)がNvidiaチップ搭載のクラウドサービスを発表しました。
Nebiusは、ロシアのIT企業Yandexから分離した企業で、AI向けクラウドインフラを提供しています。この発表により、CrowdStrikeとの競争激化が懸念され、株価が-5%下落しました。
銘柄解説:それぞれの企業を簡単に
- HUT(Hut 8 Mining) - ビットコインマイニング→AIインフラへ転換中
- NFLX(Netflix) - 動画配信サービス大手。コンテンツ拡充中
- CRWV(CrowdStrike) - サイバーセキュリティ大手。競争激化
- Nebius - 旧Yandex系のAIクラウドインフラ企業
- Anthropic - OpenAIと並ぶAI企業(Claude開発)
まとめ
2025年12月17日(水)米国時間の市場は、FRB高官のタカ派発言が重荷となり、前日に続いて下落基調となりました。
特に半導体銘柄の大幅下落が目立ち、NVDA、AVGO、ORCLが大きく売られました。
一方、個別銘柄ではHUTが+10%と急伸。AIインフラへの転換が評価されました。
FRBの高金利維持姿勢が続く中、成長株への圧力が強まっています。Micron決算の結果次第では、半導体セクターがさらに動く可能性があります。