陳列方法とは

陳列方法とは、店舗で商品を棚に並べる方法のこと。中小企業診断士試験の「運営管理」では、この陳列方法が頻出テーマとして出題される。

陳列方法を理解することで、売上を最大化する店舗レイアウトが設計できる。小売業にとって、陳列は売上に直結する超重要スキルだ。

基本の陳列方法:バーティカル vs ホリゾンタル

1. バーティカル陳列(縦型陳列)

バーティカル陳列は、商品を縦方向に並べる方法。

📦 イメージ

┌─────┬─────┬─────┐
│ A社 │ B社 │ C社 │  ← 上段
├─────┼─────┼─────┤
│ A社 │ B社 │ C社 │  ← 中段
├─────┼─────┼─────┤
│ A社 │ B社 │ C社 │  ← 下段
└─────┴─────┴─────┘

同じメーカーの商品を
縦に並べる
                        

✅ メリット

  • 商品が探しやすい - 同じブランドが縦に並ぶので、顧客が目当ての商品を見つけやすい
  • ブランド認知が高まる - 同じメーカーの商品が固まっているので、ブランドイメージが強化される
  • 在庫管理がしやすい - 商品ごとにエリアが明確なので、補充が楽

❌ デメリット

  • 比較しにくい - 他のメーカーの商品が離れているので、価格比較がしづらい
  • 視線の動きが限定的 - 縦方向にしか視線が動かないため、他の商品に目が行きにくい

🏪 適している商品

  • ブランド重視の商品 - 化粧品、家電、高級食品など
  • リピート購入が多い商品 - 顧客が「いつもの商品」を探すときに便利

2. ホリゾンタル陳列(横型陳列)

ホリゾンタル陳列は、商品を横方向に並べる方法。

📦 イメージ

┌─────┬─────┬─────┐
│ A社 │ A社 │ A社 │  ← 上段
├─────┼─────┼─────┤
│ B社 │ B社 │ B社 │  ← 中段
├─────┼─────┼─────┤
│ C社 │ C社 │ C社 │  ← 下段
└─────┴─────┴─────┘

同じメーカーの商品を
横に並べる
                        

✅ メリット

  • 比較しやすい - 異なるメーカーの商品が上下に並ぶので、価格や機能を比較しやすい
  • 衝動買いを促進 - 視線が横に動くため、複数の商品に目が行き、ついで買いが増える
  • バラエティ感が出る - 多様な商品が並んでいる印象を与える

❌ デメリット

  • ブランド認知が弱い - 同じメーカーの商品が分散するので、ブランドの存在感が薄れる
  • 在庫管理が面倒 - 商品が横に広がるため、補充や整理が大変

🏪 適している商品

  • 価格競争が激しい商品 - 調味料、日用品、PB商品など
  • 初めて買う顧客が多い商品 - 比較検討して選びたい商品

フェイシング(正面陳列)

フェイシングとは、商品のパッケージの正面(顔)を前に向けて並べること。

「1フェイシング」は商品が1個並んでいる状態、「2フェイシング」は同じ商品が2個並んでいる状態を指す。

📌 フェイシング数の決め方

  • 売れ筋商品:多くのフェイシング(3〜5フェイシング)
  • 新商品:目立つように多めのフェイシング
  • 死に筋商品:最小限のフェイシング(1フェイシング)

💡 実務でのポイント

フェイシング数を増やすと、視認性が上がり、売上が伸びる。ただし、スペースは有限なので、売れ筋商品に集中するのが鉄則。

ゴールデンゾーン(ゴールデンライン)

ゴールデンゾーンとは、顧客の目線の高さ(床から110〜150cm)の棚のこと。

この高さは最も視認性が高く、手に取りやすいため、売上が最大化される。

📊 棚の高さと売上の関係

  • 上段(150cm以上):視認性は高いが、手に取りにくい。軽い商品や長期保存商品を置く
  • ゴールデンゾーン(110〜150cm):最も売れる。売れ筋商品や高利益商品を置く
  • 中段(60〜110cm):視認性はやや低いが、手に取りやすい。子供向け商品を置く
  • 下段(60cm以下):視認性が低い。重い商品や低価格商品を置く

試験頻出ポイント

中小企業診断士試験では、「ゴールデンゾーンに何を置くべきか」が頻出。答えは「高利益商品」または「売れ筋商品」

ゴンドラエンド(エンド陳列)

ゴンドラエンドとは、陳列棚(ゴンドラ)の端(エンド)のこと。通路に面しているため、視認性が非常に高い。

✨ ゴンドラエンドの特徴

  • 通行客の目に入りやすい - 通路を歩く人が必ず視界に入る
  • 衝動買いを促進 - 目立つため、計画外の購入を誘発
  • 販促スペースとして最適 - 特売品や新商品を置く黄金スポット

🎯 ゴンドラエンドに置くべき商品

  • 特売品 - 集客のための目玉商品
  • 新商品 - 認知度を上げるため
  • 季節商品 - クリスマス、バレンタインなど
  • 高利益商品 - 衝動買いを狙う

試験頻出ポイント

「ゴンドラエンドに何を置くべきか」という問題が頻出。答えは「特売品」「新商品」「高利益商品」

その他の陳列方法

ジャンブル陳列(投げ込み陳列)

ジャンブル陳列は、商品を無造作に積み上げる陳列方法。「ワゴンセール」でよく見る。

  • メリット:お得感が出る、陳列コストが低い
  • デメリット:高級感がない、商品が傷みやすい
  • 適した商品:特売品、賞味期限間近の商品、低価格商品

アイランド陳列

アイランド陳列は、通路の真ん中に島のように商品を置く方法。

  • メリット:どの方向からでも商品が見える、注目度が高い
  • デメリット:通路が狭くなる、スペース効率が悪い
  • 適した商品:新商品、季節商品、大型キャンペーン商品

クロス陳列(関連陳列)

クロス陳列は、関連商品を一緒に並べる方法。「ついで買い」を狙う。

  • 例:パスタとパスタソース、ビールとおつまみ、鍋つゆと野菜
  • メリット:客単価が上がる、利便性が高い
  • 試験ポイント:「買い合わせ率を上げる陳列方法は?」→ 答え:クロス陳列

ブロック陳列

ブロック陳列は、同じ商品を大量に積み上げる方法。量感を出してお得感を演出。

  • メリット:インパクトが強い、特売感が出る
  • デメリット:補充が大変、売れ残りリスク
  • 適した商品:特売品、大容量パック、季節商品

ステージ陳列

ステージ陳列は、階段状に商品を並べる方法。高さを変えることで視認性を高める。

  • メリット:商品が見やすい、立体感が出る
  • デメリット:陳列に手間がかかる
  • 適した商品:化粧品、ワイン、高級食品

試験対策:よく出る問題パターン

📝 問題1:「売れ筋商品をどこに置くべきか?」

答え:ゴールデンゾーン(床から110〜150cm)

📝 問題2:「ゴンドラエンドに何を置くべきか?」

答え:特売品、新商品、高利益商品

📝 問題3:「客単価を上げる陳列方法は?」

答え:クロス陳列(関連陳列)

📝 問題4:「ブランド認知を高める陳列方法は?」

答え:バーティカル陳列(縦型陳列)

📝 問題5:「価格競争が激しい商品に適した陳列方法は?」

答え:ホリゾンタル陳列(横型陳列)

📝 問題6:「お得感を演出する陳列方法は?」

答え:ジャンブル陳列(投げ込み陳列)、ブロック陳列

実務での活用例

この知識は試験だけでなく、実務でも超使える

🏪 コンビニの場合

  • ゴンドラエンド:新商品のペットボトル飲料
  • ゴールデンゾーン:売れ筋のおにぎり、弁当
  • クロス陳列:レジ横でガムと電池を並べる

🛒 スーパーの場合

  • バーティカル陳列:調味料(メーカーごとに縦に並べる)
  • ホリゾンタル陳列:PB商品(価格比較しやすいように横に並べる)
  • ジャンブル陳列:ワゴンセールで賞味期限間近の商品

💄 ドラッグストアの場合

  • ステージ陳列:化粧品(高さを変えて見やすく)
  • アイランド陳列:新発売のサプリメント(通路の真ん中)
  • ゴンドラエンド:特売のシャンプー

まとめ:陳列方法の全体像

陳列方法 特徴 適した商品
バーティカル陳列 縦に並べる、ブランド認知◎ 化粧品、家電、高級食品
ホリゾンタル陳列 横に並べる、比較◎ 調味料、日用品、PB商品
ゴールデンゾーン 目線の高さ、売上最大 売れ筋、高利益商品
ゴンドラエンド 棚の端、視認性◎ 特売品、新商品
ジャンブル陳列 無造作に積む、お得感 特売品、賞味期限間近
クロス陳列 関連商品を並べる ついで買いを狙う商品
アイランド陳列 通路の真ん中、注目度◎ 新商品、季節商品
ブロック陳列 大量に積む、量感 特売品、大容量パック
ステージ陳列 階段状、立体感 化粧品、ワイン

中小企業診断士試験では、これらの陳列方法を状況に応じて使い分ける問題が頻出。実務でも、この知識があれば店舗の売上を最大化できる。

陳列は奥が深い。この記事を何度も読み返して、試験本番で確実に得点しよう!