要約と結論
結論:金ETFは便利だが、投資対象としては魅力がない。
- 金相場の現状:2024年は史上最高値を更新(1オンス2,700ドル超え)。地政学リスク、インフレ懸念、中央銀行の金買いが背景。
- 金ETFのメリット:少額から購入可、保管不要、流動性が高い、現物より手軽。
- 金ETFのデメリット:信託報酬がかかる、実物がない、配当・利息がゼロ。
- 最大の問題点:金は「成長しないコモディティ」でしかない。株式のような企業成長がなく、価値の源泉は「紙幣価値の代替」のみ。
- 投資判断:インフレ対策にはなるが、資産成長は望めない。だから俺は投資しない。
金相場の現状(2024年~2025年)
2024年、金価格は史上最高値を更新し続けた。
金価格の推移
- 2024年1月:約2,050ドル/オンス
- 2024年10月:約2,700ドル超え(史上最高値)
- 2025年12月現在:約2,600~2,650ドル(高値圏で推移)
1年で約30%上昇。金価格は明らかに高騰している。
なぜ金価格が上昇しているのか?
主な要因は以下の3つ。
- 地政学リスク:ウクライナ情勢、中東情勢、米中対立など、世界情勢の不安定化。
- インフレ懸念:各国の金融緩和・財政出動により、紙幣の価値が希薄化。
- 中央銀行の金買い:中国・ロシア・インドなど新興国の中央銀行が外貨準備として金を大量購入。
特に中央銀行の金買いは、2022年以降、過去最高ペースで続いている。これが金価格を底支えしている。
なぜ今、金が注目されているのか
金が「安全資産」として注目される理由は、以下の通り。
1. インフレヘッジ(インフレ対策)
紙幣の価値が下がると、金の価値は相対的に上がる。
- 現金を持っていても、インフレで価値が目減りする。
- 金は「実物資産」なので、紙幣の価値が下がっても影響を受けにくい。
2. 地政学リスクへの備え
戦争・紛争・政治不安が起きると、投資家は「安全資産」に資金を移す。
- 株式・債券は暴落するリスクがある。
- 金は「無国籍通貨」として、どの国でも価値が認められる。
3. 中央銀行の信認低下
各国の中央銀行が金融緩和を続けた結果、「紙幣の信用」が揺らいでいる。
- 日本:異次元緩和で円安・インフレ加速。
- 米国:FRBの大規模緩和でドルの価値が希薄化。
- 中国:人民元の信用が低く、金を外貨準備に積み増し。
これらの理由から、「紙幣よりも金の方が信用できる」という投資家が増えている。
金を買うなら金ETFでいいじゃん
金に投資するなら、金ETFが最も手軽で合理的だ。
金ETFとは?
金ETF(Exchange Traded Fund)は、金価格に連動する上場投資信託。
- 代表的な金ETF:SPDR ゴールド・シェア(GLD)、iシェアーズ ゴールド・トラスト(IAU)
- 日本のネット証券(楽天証券、SBI証券)で簡単に購入できる。
- 金の現物を保有するのと同じ効果が得られる。
金ETFのメリット
- 少額から購入可能:1万円程度から購入できる。現物の金地金は最低数十万円~。
- 保管不要:金庫を買う必要なし。盗難リスクもない。
- 流動性が高い:株式と同じように、すぐに売買できる。現物は買取業者に持ち込む手間がかかる。
- 手数料が安い:信託報酬は年0.4%程度。現物の売買手数料(3~5%)より安い。
- 税制が有利(米国ETF):譲渡益は株式と同じ扱い。現物は「総合課税」で最大55%の税率。
金ETFのデメリット
- 信託報酬がかかる:年0.4%程度。長期保有するとコストがかさむ。
- 実物がない:「紙の金」でしかない。金融危機時に現物が欲しくても手に入らない可能性。
- 配当・利息がゼロ:株式のような配当、債券のような利息は一切ない。値上がり益しか期待できない。
- 為替リスク:米国ETFはドル建て。円高になると目減りする。
それでも、現物よりは金ETFの方が圧倒的に便利だ。
金は「成長しないコモディティ」でしかない
ここまで読んで、「じゃあ金ETFを買おう」と思った人もいるかもしれない。
でも、ちょっと待ってほしい。
⚠️ 金は「成長しないコモディティ」でしかない。
金と株式の決定的な違い
金と株式の最大の違いは、「成長するかどうか」だ。
株式(企業)
- 価値の源泉:企業の成長・利益
- 配当・利息:あり(企業利益の還元)
- 成長性:ある(企業が成長すれば株価も上がる)
- 長期リターン:年平均7~10%(S&P500の過去実績)
- インフレ対策:企業が価格転嫁すれば対応可能
金(コモディティ)
- 価値の源泉:紙幣価値の代替
- 配当・利息:なし(ただの金属)
- 成長性:ない(金自体は成長しない)
- 長期リターン:年平均2~3%(インフレ率程度)
- インフレ対策:インフレヘッジとして機能
金の長期リターンは「インフレ率程度」
金の長期的なリターンは、年平均2~3%程度と言われている。
- これは、インフレ率(物価上昇率)とほぼ同じ。
- つまり、金を持っていても、資産は実質的に増えない。
一方、S&P500(米国株)の長期リターンは年平均7~10%。
- 企業が成長し、利益を上げ、配当を出すから、株価も上がる。
- 株式は「成長する資産」であり、金は「守る資産」でしかない。
株式投資との決定的な違い:シミュレーション
もう一度、株式と金を比較してみよう。
100万円を30年間投資した場合
- 金ETF(年2%):約181万円
- S&P500(年7%):約761万円
- 差額:約580万円
⚠️ 同じ100万円を30年間投資しても、株式と金では580万円の差が生まれる。
なぜこんなに差が出るのか?
答えは簡単。株式は「成長する」が、金は「成長しない」から。
- 株式:企業が成長し、利益が増え、株価が上がる。配当も再投資すれば、複利効果で資産が雪だるま式に増える。
- 金:金自体は何も生み出さない。価値の源泉は「紙幣の代替」だけ。インフレ分しか上がらない。
株式は「成長する資産」であり、金は「守る資産」でしかない。
個人的な見解:だから俺は投資しない
ここまで書いてきて、俺の結論は明確だ。
金には投資しない。
投資しない理由
- 成長しないから:金は「守る資産」であって、「増やす資産」ではない。
- 配当・利息がないから:ただ持っているだけでは、何も生まれない。
- インフレヘッジなら株でもできるから:企業は価格転嫁でインフレに対応できる。金でなくても良い。
- 長期リターンが低いから:年2~3%のリターンでは、資産形成にならない。
金が向いている人
とはいえ、金が向いている人もいる。
- すでに十分な資産がある人:資産を守るために、ポートフォリオの一部(5~10%)を金で保有。
- 地政学リスクに備えたい人:戦争・紛争が起きても、金は価値を保つ。
- 紙幣を信用していない人:中央銀行の金融緩和に不信感がある人。
俺の投資方針
俺は、米国株(S&P500、NVIDIA、MSFT、AAPL等)に投資している。
- 企業は成長し、利益を生み、配当を出す。
- 長期的に見れば、株式が最も高いリターンを生む。
- インフレ対策にもなる(企業は価格転嫁できる)。
金は「守る資産」であって、「増やす資産」ではない。俺は資産を増やしたいから、金には投資しない。
📝 ただし、市場が暴落したときの「保険」として、ポートフォリオの5~10%を金で保有するのはアリかもしれない。
俺は今のところ不要だと思っているが、将来的に資産が増えたら検討するかもしれない。
まとめ
- ✅ 金価格は2024年に史上最高値を更新(2,700ドル超え)
- ✅ 金ETFは便利だが、信託報酬・配当なし・実物なしのデメリットあり
- ✅ 金は「成長しないコモディティ」で、長期リターンは年2~3%程度
- ✅ 株式は年7~10%の成長が期待でき、30年で580万円の差
- ✅ 金は「守る資産」であって「増やす資産」ではない
- ✅ インフレヘッジなら株式でも可能(企業の価格転嫁)
- ✅ 俺は金には投資しない。米国株に集中する。
金は確かにインフレ対策や地政学リスクへの備えになる。でも、資産を増やしたいなら株式一択だと思う。
金は「守る資産」であって、「増やす資産」ではない。俺は資産を増やしたいから、金には投資しない。