市場概況:素材・エネルギー堅調、貴金属は調整
12月29日の米国市場は、素材セクターとエネルギー公益セクターが上昇した一方、貴金属関連が下落する展開となった。年末の薄商いの中、4/11セクターが上昇する混在した相場となった。
貴金属・素材関連の下落
📉 金鉱株、リチウム電池、アブロビンが下落
- 金鉱株:下落
- リチウム電池関連:下落
- アブロビン(ABBV):下落
前日まで好調だった貴金属関連が調整局面に。金銀の価格下落を受けて、金鉱株やリチウム電池関連銘柄が売られた。
素材・エネルギーセクター上昇
📈 4/11セクターが上昇、エネルギー公益強い
素材セクターとエネルギー関連が堅調。年末に向けてエネルギー公益セクターへの資金流入が見られた。
主要ニュース・トピックス
バンク・オブ・アメリカCEO:トランプ関税の影響は限定的
バンク・オブ・アメリカのブライアン・モイニハンCEOは、トランプ次期政権が導入を検討している関税政策について、米国経済への影響は限定的との見方を示した。
トランプ氏は選挙期間中、中国製品に60%、メキシコ製品に25%の関税を課すと公言しており、市場では2018-2019年の貿易戦争の再来を懸念する声が高まっている。しかし、モイニハンCEOは「関税は交渉の手段であり、実際の影響は限定的になるだろう」と述べ、大手銀行トップとしては楽観的な見方を維持している。
バンク・オブ・アメリカは米国第2位の銀行であり、企業向け融資や消費者金融で幅広い顧客基盤を持つ。モイニハンCEOの発言は、米国企業のセンチメントを示す重要な指標として市場で注目されている。
スターバックス都市部不採算店400店閉鎖、郊外型店舗へ投資シフト
スターバックス(SBUX)が都市部の不採算店舗約400店を閉鎖し、郊外型店舗への投資にシフトする戦略を発表した。
コロナ後のリモートワーク定着により、ニューヨークやサンフランシスコなどの都市部オフィス街での顧客数が大幅に減少。一方で、郊外の住宅地や商業施設周辺の店舗は好調を維持している。スターバックスは「顧客がいる場所に店舗を配置する」という基本戦略に基づき、都市部から郊外へのシフトを加速させる。
また、新CEOのブライアン・ニコル氏(元Chipotle CEO)は、店舗体験の向上とドライブスルー強化を重視。郊外型店舗は駐車場やドライブスルーを備えやすく、顧客満足度も高い傾向にある。この戦略転換により、2026年以降の収益性改善を目指す。
ソフトバンクのデジタルブリッジ買収交渉報道で、関連株価が急騰
ソフトバンクグループ(日本)がデジタルブリッジ(DBRG)の買収交渉を進めているとの報道を受け、デジタルブリッジの株価が急騰した。
デジタルブリッジは、データセンターや通信インフラなどデジタルインフラに特化した投資会社で、時価総額は約100億ドル規模。ソフトバンクは既にデジタルインフラ分野への投資を強化しており、AI需要の急増によるデータセンター需要を見込んでいるとみられる。
孫正義CEOは最近、AI分野への再注力を表明しており、OpenAIやArmに続く大型投資として注目されている。ただし、ソフトバンクは過去にWeWorkやUberなどの投資で巨額損失を計上した経緯もあり、市場では慎重な見方も根強い。
バークシャー・ハサウェイがバフェット後継体制へ準備、ポートフォリオ再編を継続
バークシャー・ハサウェイ(BRK.A, BRK.B)がウォーレン・バフェット後の体制に向けた準備を本格化させている。
94歳のバフェット氏は依然として健在だが、後継者として指名されているグレッグ・アベルCEOへの権限委譲が徐々に進んでいる。最近の四半期報告では、アップル株の大幅売却や現金ポジションの積み上げ(過去最高の2,770億ドル)が明らかになり、ポートフォリオの大規模再編が進行中であることが示された。
市場では、アベル氏がバフェット氏とは異なる投資スタイルを持つ可能性が指摘されており、エネルギー・インフラ分野への注力が予想されている。バークシャーの動向は、機関投資家にとって重要なベンチマークとなっており、今後の投資戦略の変化が注目される。
OpenAIが安全対策の責任者を募集、AIリスクへの監視強化に対応
OpenAIがAIセーフティ(安全対策)担当の上級幹部を募集していることが明らかになった。
ChatGPTやGPT-4などの生成AIが急速に普及する中、AIの誤用や偏見、セキュリティリスクへの懸念が高まっている。特に、ディープフェイクの悪用、選挙への影響、サイバー攻撃への転用など、社会的リスクが顕在化している。
OpenAIは以前、安全対策チームのリーダーが辞任したことで批判を浴びており、安全対策体制の立て直しが急務となっている。また、EUのAI規制法や米国でのAI規制議論が活発化しており、規制当局との協調も重要な課題となっている。
市場では、AIセーフティへの投資が増えることで開発スピードが鈍化する可能性も指摘されているが、長期的な信頼性確保には不可欠との見方が強い。
経済指標
12月ダラス連銀製造業指数:-10.9(前回-10.4)
Dallas Fed Manufacturing Index stays in the red in December
製造業指数は2ヶ月連続でマイナス圏。製造業の弱さが継続している。
11月保留中住宅販売:+3.3% vs 予想+1%(前回+1.9)
Pending home sales rise more than expected in November
保留中住宅販売が予想を上回る伸び。住宅市場は堅調さを維持している。
長期金利
- 10年債:4.12%(-0.05)
- 2年債:3.47%(-0.07)
長期金利は小幅低下。年末の債券市場は落ち着いた動きとなっている。
SP500は17%上昇の良い年
2025年のSP500は年初来で17%上昇。テクノロジーセクターを中心に堅調な1年となった。
今日のポイント
- 貴金属関連が調整局面、金鉱株・リチウム電池関連が下落
- 素材・エネルギー公益セクターは堅調、4/11セクターが上昇
- 住宅販売は予想を上回る伸び、製造業は弱い
- スターバックスが都市部400店閉鎖、郊外型へシフト
- ソフトバンクのデジタルブリッジ買収報道で関連株急騰
- OpenAIがAIセーフティ担当幹部を募集、規制対応強化
所感
素材・エネルギー公益セクターが堅調でした。一方、金鉱株・リチウム電池関連は調整入り。
住宅販売は予想を上回る好調さを見せた一方、製造業指数は2ヶ月連続でマイナス圏。消費は堅調ですが、製造業の弱さが気になるところです。
スターバックスの都市部400店閉鎖のニュースは、リモートワーク定着による構造変化を象徴しています。郊外型店舗への投資シフトは、2026年以降の収益性改善につながるか注目されます。
ソフトバンクのデジタルブリッジ買収報道は、AI需要の急増によるデータセンター需要を見込んだ戦略と見られます。孫正義CEOのAI分野への再注力が明確になってきました。
免責事項:この記事は情報提供を目的としており、投資助言ではありません。投資判断は自己責任でお願いします。