スマホ新法とは?そもそも何なのか
2025年12月18日、日本で「特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律(通称:スマホ新法)」が施行されました。
一言で言えば、「AppleやGoogleに対して、アプリストアの独占を緩和させる法律」です。
簡単に言うと
これまで、iPhoneでアプリをインストールするにはApp Storeしか選択肢がありませんでした。
スマホ新法は、「他の方法でもアプリをインストールできるようにしなさい」とAppleに義務付けるものです。
政府の目的:競争促進とユーザー利益の向上
政府がこの法律を作った目的は、大きく分けて3つあります。
1. 公正な競争環境の確保
AppleとGoogleがアプリストアを独占している現状は、競争を阻害しています。
- App Store以外でアプリを配信できない
- Appleが手数料30%を徴収(アプリ内課金)
- Appleのルールに従わないとアプリが削除される
これにより、新規参入が困難で、イノベーションが阻害されています。政府は、この独占状態を緩和し、公正な競争を促進したいと考えています。
2. アプリ開発者の手数料負担軽減
App Storeでは、アプリ内課金に対して最大30%の手数料がかかります。
この手数料負担は、アプリ開発者にとって大きなコストです。スマホ新法により、別の決済方法が選択できるようになれば、手数料を抑えられる可能性があります。
3. ユーザーの選択肢拡大
ユーザーにとっても、App Store以外の選択肢があることで、より安価なアプリや、App Storeでは配信できないアプリを利用できるようになります。
具体的に何が変わるのか
スマホ新法により、以下の点が変わります。
1. サードパーティアプリストアの解禁
これまで、iPhoneでアプリをインストールするにはApp Storeしか使えませんでした。
スマホ新法施行後は、他のアプリストア(サードパーティストア)からもアプリをインストールできるようになります。
- 例:Amazon App Store、Epic Games Store、独自のアプリストアなど
2. 外部決済システムの利用可能化
これまで、アプリ内課金はApple経由の決済のみで、30%の手数料がかかっていました。
スマホ新法により、外部の決済システムを使うことが可能になります。
- 例:クレジットカード決済、PayPay、楽天ペイなど
- 手数料が安くなる可能性がある
3. デフォルトアプリの変更可能化
これまで、iPhoneでは標準ブラウザはSafari、検索エンジンはGoogleやBingなど、一部変更できないものがありました。
スマホ新法により、デフォルトアプリをより自由に変更できるようになる可能性があります。
- 例:Chromeをデフォルトブラウザにするなど
4. サイドローディングの解禁
サイドローディングとは、アプリストアを経由せずに、直接アプリをインストールすることです。
Android端末では既に可能でしたが、iPhoneでは禁止されていました。スマホ新法により、iPhoneでもサイドローディングが可能になる可能性があります。
- 例:企業の業務用アプリ、ベータ版アプリなど
メリット:選択肢が増える、価格が下がる可能性
メリット1:アプリの選択肢が増える
App Store以外のストアが登場することで、より多様なアプリが利用できるようになります。
- App Storeでは審査が厳しくて配信できなかったアプリ
- 地域限定のアプリ
- 企業向けの業務アプリ
メリット2:アプリの価格が下がる可能性
外部決済が使えるようになることで、手数料が安くなり、アプリやサービスの価格が下がる可能性があります。
- サブスクリプション料金が安くなる
- アプリ内課金の価格が安くなる
メリット3:イノベーションの促進
競争が促進されることで、新しいサービスやアプリが生まれやすくなります。
デメリット:セキュリティリスクの増大
デメリット1:セキュリティリスクの増大
これが最大のデメリットです。
App Storeでは、Appleが厳格な審査を行っており、マルウェアや詐欺アプリが排除されています。
しかし、サードパーティストアやサイドローディングでは、審査が甘い、または審査がないため、危険なアプリが混入する可能性があります。
- マルウェア(ウイルス、スパイウェア)
- 詐欺アプリ(偽の銀行アプリなど)
- 個人情報の流出リスク
デメリット2:ユーザーの混乱
これまではApp Store一択でシンプルでしたが、今後は複数のストアが登場し、どこからアプリをインストールすればいいのか分からないという混乱が生じる可能性があります。
デメリット3:Apple製品の魅力低下?
iPhoneの魅力の一つは、App Storeの安全性と使いやすさでした。
サードパーティストアが増えることで、「iPhoneは安全」というブランドイメージが薄れる可能性があります。
iPhoneユーザーとして、何を考えながらスマホを使うべきか
スマホ新法施行後、iPhoneユーザーとして意識すべきポイントをまとめました。
1. セキュリティを最優先に考える
「安いから」「便利だから」という理由だけで、サードパーティストアからアプリをインストールするのは危険です。
- 信頼できる提供元か? - 大手企業(Amazon、Microsoftなど)のストアであれば比較的安全
- レビューを確認する - 評価が低い、レビューが少ないアプリは避ける
- 権限を確認する - アプリが不必要な権限(連絡先、位置情報など)を求めていないか
基本的には、App Storeを優先し、どうしても必要な場合のみサードパーティストアを利用するのが安全です。
2. プライバシー設定を見直す
サードパーティアプリは、データ収集が積極的な可能性があります。
- iPhoneの「設定」→「プライバシーとセキュリティ」で権限を確認
- 不要な権限は「オフ」にする
- アプリの追跡を「許可しない」に設定
3. 価格だけで判断しない
サードパーティストアで「App Storeより安い!」というアプリがあっても、飛びつかないことです。
- 安全性は大丈夫か?
- サポート体制は整っているか?
- アップデートは継続されるか?
「安全性 > 価格」という優先順位を忘れないようにしましょう。
4. リテラシーを高める
スマホ新法により、ユーザー自身の判断が求められる場面が増えます。
- 怪しいアプリを見分ける力
- セキュリティの基礎知識
- 詐欺の手口を知る
「自分の身は自分で守る」という意識が、これまで以上に重要になります。
5. 様子を見る姿勢も大切
スマホ新法は施行されたばかりで、どのような影響が出るか未知数です。
- しばらくはApp Storeを中心に使う
- サードパーティストアの評判が確立してから利用する
- トラブル事例をニュースで確認する
「焦らず、様子を見る」のも賢い選択です。
まとめ
2025年12月18日施行のスマホ新法は、Apple・Googleの独占を緩和し、競争促進とユーザー利益の向上を目指すものです。
- メリット:選択肢が増える、価格が下がる可能性
- デメリット:セキュリティリスクの増大、ユーザーの混乱
iPhoneユーザーとしては、セキュリティを最優先に考え、信頼できる提供元のアプリのみをインストールすることが大切です。
スマホ新法は始まったばかり。様子を見ながら、賢く使っていきましょう。